SF

僕も先輩に加速されたい‼「アクセル・ワールド〈1〉黒雪姫の帰還」

大賞作品にして、すごい売れているってことで、ひねくれ者の私としては読まなくてもいーかなーとか思っていたんだけど……やっぱ小説は読まなくちゃ分からないわ! 正直、話としては予想を超えないんだけど、でも期待以上のクオリティで魅せられてしまった。構…

妖精さん版しびらいぜーしょん「人類は衰退しました 4」

巻を重ねる毎に自分が好きな作風から離れていった感のあったシリーズだったけど、今回は戻ってきたような。やっぱり妖精さんの出番が多くないと! そんな訳で中編二つ。「ひみつのこうじょう」はいまいちな感じ(妖精さんの出番少ないし! チキンいらない!…

SFでなければ描けない青春もある「ハローサマー、グッドバイ」

あちこちで評判を見かけたので、読んでみた……んだけど、最近日本の作家ばかり読んでいたせいか、久々の翻訳文体に手間取り、ちょこちょこ読んでようやく読了。 地球とは異なる世界の青春小説。ある夏に出逢った少年と少女が、若い恋に落ち、やがて近づいてく…

やっぱり小川一水は架空歴史作家だと思うんだ「フリーランチの時代」

小川一水さんのSF短編集……なんだけど、正直SFな最初の四編は凡庸だと感じた。SF短編というのは、ワン・アイディアをどこまで先鋭に研ぎ澄ましていくか、というものだと思う。その意味でこれら四編は思考実験的ではあるが、あくまで堅実なシミュレーションで…

幻想の吸血鬼SF、完結?「七本腕のジェシカ2」

遠未来SFと幻想小説の間を揺らいだ吸血鬼小説。終盤に向けて、どんどん幻想度が上がっていって、最後の方はもうストーリィがよく分からず。一応、終わったみたいだけど、結局〈刈り入れ〉って何なのよー、とか、魔王って何者だったの、とか色んな疑問が投…

エロスとタナトスのディストピア「七本腕のジェシカ」

私は吸血鬼ものが好きだ。しかし最近あまり読んでない。なぜなら…吸血鬼ものが好きすぎて、閾値が高くなり、ぬるい吸血鬼ものだと愉しめないからだ。しかも私は比較的原理主義者で、半端な設定の吸血鬼ものを見ると燃やしたくなるのである。 そんな訳で、本…

でばんすくないです?「人類は衰退しました 3」

しりあすです? という訳で、妖精さんシリーズ3巻は、初の長編にして、シリアス風味。 だんじょん探索とか、えすえふ風味とか、面白い部分はあったけど…ぶっちゃけものたりない。 だって妖精さんの出番少ないよ! 巻末絵本はとても素敵。癒されました(え?…

端正と地味は紙一重「M.G.H.―楽園の鏡像」

早すぎた越境作家・三雲岳斗のデビュー作の一本、積読から引っ張りだして読んでみた。 なるほど、端正なSFミステリ。 しかしこの「端正」さが三雲さんがイマイチ目立たない理由なんだろうなあ。換言すれば地味、という事だから。 無重力の宇宙ステーション…

少年は月を目指す「アストロノト!」

評判が良いので読んでみた。 聡い幼女マンセー!*1 ファンタジー世界で月を目指す、という設定が面白い。特に安易に魔法に逃げてない所が好感。ロケット開発周りも、国の思惑とか絡めてて巧い。*2話の山の作り方も上手で、途中でロケット開発が挫折しかけた…

秀才、天才に克つ!「クジラのソラ04」

終わりよければ全て良し。そんな風に思える、見事な最終巻。 巻数を重ねる毎にパラダイムシフトしていって、何処に行っちゃうんだーと不安と期待がないまぜのシリーズであったが、最後はぐるりと廻って最初のスポ根テーマに戻ってきた感じ。周りに壮大なSF…

人類は衰退しました 2

にかんもおもしろかったです? 思わず妖精さん語になってしまう、「人類は衰退しました」の2巻。ガガガ文庫を買ったのは、これで2冊目。同様の人、挙手! 中身は中編2本。 「人間さんの、じゃくにくきょうしょく」は、スプーンおばさんオマージュかと思っ…

サムライ・レンズマン

秋山瑞人・古橋秀之講演会に行くのに、せっかくだからサインをもらう本を持っていこうと思ったんだけど、「冬の巨人」はLNFの時にもらっちゃったし…と困っていたら、積ん読の山の中にこの本を発見。忘れてた! 「レンズマン」が新訳復刊した時に買っておいた…

猫の地球儀〈その2〉幽の章

サインを貰った、「猫の地球儀」完結編。 上巻を読んでいた時は、まさかここまで凄絶な小説になるとは想像もしてなかったなあ。クライマックスのバトルは鳥肌ものだし、そこから続く畳みかけるようなラストは…すげえ、の一言。 椎名優のイラストも、モノクロ…

時砂の王

小川一水の新作は、時空を越えた壮大な年代記だった。うーん、恰好良い! 鬼道の女王・卑弥呼という存在は、とても神秘的で実に萌えるよね。史実としては分からない部分が多いから色々嘘もつけるし、歴史改変小説の素材として申し分ない。定金伸治の「姫神」…

猫の地球儀 焔の章

講演会に行く事にしたのだが、そういえば久しく秋山瑞人の作品を読んでない*1と気付く。幸い(?)既読は「イリヤの空、UFOの夏」と「ミナミノミナミノ」だけだったで、良い機会だから傑作と名高い「猫の地球儀」に手を出してみる。*2 ただただ最強たるを目…

銀河英雄伝説(3)

イベントに合わせて3巻目を再読。 銀英伝読者の語り草、2巻衝撃のラストと比して、3巻は雌伏篇の名に相応しく表面的には大きな動きはなし。いや、普通に考えたらイゼルローン近辺で結構凄い事が起きているんだけど、帝国同盟の勢力図が塗り変わらないので…

銀河英雄伝説(2)

先を知っているはずなのに先が気になり読み続けてしまった。東京創元文庫版の刊行には追いつかないように*1、ペースを落とさないと。 という訳で、銀英伝好きには言わずと知れた、あの人が死んでしまう2巻。この巻で読者は「銀英伝」の、田中芳樹の容赦なさ…

銀河英雄伝説(1)

木乃伊取りが木乃伊になって再読開始。 いやあ、面白いなあ。 とにかく次々と物語が動く。1冊の本の中にこんなに事件が詰め込まれていたんだ、と改めて驚嘆した。ゆっくりと書けば、これだけで10冊になるんじゃないか、という物語の密度。なんという贅沢…

マルティプレックス

50歳を超えて電撃大賞を受賞した伝説の作家・田村登正氏。ここしばらく新刊が出てなかったので消えてしまったのかと心配していたのだけど、久々の新刊が出た! 今回は現代の高校生たちが主人公。謎のオンラインゲームに参加するが、それは余りにリアルな戦…

リグザリオ洗礼

「レギオス」の前日譚になるシリーズ…らしいけど、まだ都市は歩いていない。全3巻らしいので、最後には歩くのかなあ。 序盤、レギオスの名前に引っ張られて、世界観が掴めず。亜空間を作れる割りには、ケータイなんだなあ、とかSF技術度もいまいち分から…

神は沈黙せず(上下)

超常現象成分が欲しくなったので積ん読の中から発掘。 超常現象の数々から、神の意図を探っていくというSF。と学会会長である山本弘ならではの、超常現象への造形の深さが愉しい。こういう衒学的SF、久々に読んだなあ。 ただ1点だけ気になった。加古沢…

やみなべの陰謀

田中哲也の連作短編集、時間SFである。 とはいっても、各作品の関連は余り明示されないし、しょーじきどーでもいー気がする。きっと気にしちゃ負けだ。 個人的には、阿呆な独裁が敷かれた未来の大阪を描いた「マイ・ブルー・ヘヴン」が本当に阿呆で好き。…

グアルディア(上下)

いやー、てっきりファンタジーだと思い込んで読み始めたら、遠未来SFで、まずそこにびっくりしたり。そして、カルラが主人公の話かと思ったら、アンヘルの物語だった。カルラがメインだったら萌えたのに!(爆) と、序盤から2回裏切られたから悪印象…と…

クジラのソラ03

ホント、巻を重ねる度に、まったく世界の見え方が変わってくるシリーズだな。《ゲーム》がここまで壮大な話だったとは。くらくら〜。という訳で、ワールドグランプリの裏側で進む陰謀劇、なんとなくGガンダムを思いだした(笑)。 第二段階アウターシンガー…

円環少女(5)

ライトノベルで大学闘争の話を読まされるとは…「獣たちの夜」以来だな。 という訳で、サドデレ小学生ノベルも気がつけば5冊目。なんだけど、ぶっちゃけ、メイゼルの出番が少なくて読み進めるのが辛かった(苦笑)。 途中物語がほとんど展開しないのは、最後…

スターライト☆ぱ〜ふぇくと!

SF

ふと火浦功作品が読みたくなったので積ん読から引っ張り出す。 スターライト・シリーズの復刊合本完全版。最近のソノラマ・ノベルスの常套手段ですな。スターライト・シリーズは「だんでぃ」をスーパーダッシュ文庫版、「こねくしょん」をコバルト文庫版で持…

天使は結果オーライ

ロケットガール2巻目。そして3人目・茜登場! 正直、ゆかりもマツリもあんまし好みじゃないので、優等生タイプの彼女が出てきたのはとても嬉しい(笑)。 内容はあいかわらずライトでまじめな宇宙開発SF。一生を宇宙に捧げた人々の思いをさりげなく描く…

クジラのソラ02

うお、なんか凄く面白くなってる! いやね、前回ツボだった《ゲーム》周りの話はあまり無くなっていて…というか、完全にパラダイムシフトで別次元に行っちゃって。もうちょっと《ゲーム》自体の話を読みたかったなあ、とか物足りなく思わんでもないのだけど…

沈黙のフライバイ

野尻抱介さんの短編集。ワンアイディアのセンス・オブ・ワンダーが、短編らしい切れ味で迫ってくる5編。 一つの事例からさまざまな事実を引き出してくる、名探偵のごとき科学者の炯眼に感心すると同時、彼らの理性的な熱さが胸を打つ。 野尻さんのSFは現…

サイレント・ラヴァーズ 悪魔になった少年

ラノべでは珍しい悲恋もの。しかも戦場の恋。 なんだけど、個人的にはロボット戦記な部分の方が気になったり。今の所「そのVGの性能のおかげだということを忘れるな!」って感じの展開だけど、今後戦闘の駆け引きが出てくる事に期待。*1 小隊長が恰好良い…