ミステリ

連作短編としての魅力は弱いかな?「魔法飛行 」

第3弾の「スペース」も文庫化されたし、という事で駒子シリーズ2巻目を読んでみた。もう「ななつのこ」の内容をさっぱり忘れているけどね! 3つの短編が描かれる背後で、何者かの暗躍がほのめかされる、という構成。 駒子と友達との会話といった日常部分…

ふつーに白鳥が出てきて吃驚!「螺鈿迷宮(上)」

「チーム・バチスタ」と繋がっている話なんだなあ、と思って読んでいたら、普通に白鳥が出てきて驚いた。つまり姫宮が、向こうで散々名前だけ出てきた「姫」!? 彼女のドジはどこまでマジなんだ? あいかわらず医療ミステリなのに、妙に中二センスの二つ名…

オチの効果が良く分からない「探偵伯爵と僕―His name is Earl」

元の企画が企画だけにやむを得ないが、ミステリというより、少年探偵もの。推理の余地はない感じ。そんな訳で物足りなかった。 途中まで伯爵の正体は、既存の森作品のキャラと疑っていたんだけど、流石にそこまでのリンクはなかったか。 で、最後のオチに何…

ジュヴナイルでミステリちっくなホラー「禍家」

「忌館」を読んで、好みの作風*1であることを確認した三津田さん。ぼちぼち読んでいこう、という訳で、書き下ろしの文庫。 引っ越した家に起きる怪異に、少年と少女が挑む、というどこかジュヴナイルっぽい話。ミステリとしては、予想通り*2であるが、粘性の…

ぶっちゃけオチの意味が分からなかった……「「アリス・ミラー城」殺人事件」

色んな人にオススメされて読んでみた、けど……うーん、オチが分からない。こういうのって、最後まで読んだら、「えっ!?」ってなって、ストンと色んなものが落ちてこないといけないんじゃないだろうか。再読すればいいのかも知れないけど、ぶっちゃけめどい…

けれん味が足りない……「予知夢」

うーん、「容疑者X」のために読み始めた「ガリレオ」シリーズだが、この2冊は正直凡作だと思う。キャラのけれん味は足りないし、トリックも常識的。いや、物理学的にオカルト事件を解明する話なので、常識へと着地させないとまずいのは分かるんだけどね。…

異能者の集う中二病棟「ナイチンゲールの沈黙(上下)」

桜宮サーガ第2弾が文庫化したので読んでみた。 この作者の魅力はやっぱりトリック部分じゃなくて、キャラクタだよなあ。医療関係者を始め登場人物がことごとく二つ名持ちで、異能すれすれの技能持ち多数って、どんな中二病棟(笑)。そんな個性的な面々のや…

あっさり風味のゴーストハント「探偵ガリレオ」

ミステリなのに直木賞を獲った「容疑者X」が文庫落ちしたので読もうかどうかと思ったら、実はシリーズ物で*1、シリーズの1冊目を手に取ったら、超常現象を科学的に解明する類のミステリ、いわゆるゴーストハントものだと知って、迷わず読んだ。 実は初東野…

そして物語は終幕へと辿り着いた「“文学少女” と神に臨む作家 下 」

文学少女シリーズ完結。 最後の最後、遠子先輩の事件を、美しい物語へと想像するのは、やはり心葉の役割! 思えば1巻が出た時、「文学少女」というキーワードと、竹岡美穂さんの美麗なイラストに惹かれて読んで、その予想を遥かに上回る面白さに魅せられて……

かくて現実と虚構は接続する「グラン・ギニョール城」

「グラン・ギニョル」という言葉にゴス魂が刺激されて買ったものの、そのまま積んでいたもの。最近、ミステリ・モードになって、ようよう読了。 小説の中での事件と、現代日本の事件が交互に語られ、メタミスかーと騙されないように警戒しながら読んでいたら…

ななせ、恐るべきデレツン「“文学少女”と神に臨む作家 上」

“文学少女”シリーズ完結編上巻。一気に読みたいので下巻が出るまで我慢してた。大正解だったぜ! 前半のななせの可愛さが強力すぎる。遠子先輩派のはずの俺をして揺るがすとは、恐るべきデレツンだ。 そしてななせのラブコメっぷりが、際立たせる遠子先輩の…

青春ミステリーの快作「神様のメモ帳 3」

今度は話を忘れない内に、ということで早めに読んだ。 まさかこのシリーズがこんな正当派青春ミステリーになるなんて! 東京創元文庫で出してもいけるんじゃね? まずは1巻と対というか、上下巻的な構成になっていて、1巻で残されていた問題を綺麗に纏め上…

少年少女VSヤクザのリアリティ「神様のメモ帳 2」

最近、怒濤の連続刊行で注目を浴びている杉井光さん。以前「ぶよぶよカルテット」が好きなら、「さよならピアノソナタ」*1がオススメ、と言われたものの、こちらのシリーズが積読のままだったので発掘してみた。 まさかライトノベルで、こんなド直球のヤクザ…

めためためためためためためた……「忌館―ホラー作家の棲む家」

以前、桜庭一樹さんのトークショーを見に行った時、一緒に講演を聞いて、あのワールド・ミステリー・ツアー13を編集した人と知って「いつか読む」リストに入っていた作家さん。ロンドン編を片手にロンドン旅行をしたのも良い想い出だ。*1デビュー作が文庫化…

『僕』はやればできる子!「SHI-NO-シノ-空色の未来図」

シノシノ最新刊、「SHI-NO」でこんな明るいサブタイトル、ありえないよ! 中身は、意外にも『僕』方面の話。 死者からの手紙、といういかにもミステリなスタートにわくわく。ただ、途中の展開は散逸し過ぎでちょっとわかりにくかった気も。キャラが多すぎる…

核心の周りをぐるぐる廻る「τになるまで待って」

Gシリーズ第3弾。すっかり萌絵と犀川にシリーズを乗っ取られた感が……。 館ものとしては、謎は小粒で物足りないなあ。そして前作も今作もタイトルに意味がねえよ! 全シリーズへのリンクが張られているけど、物語は核心の周りをぐるぐる廻るだけで、さっぱ…

マリア消滅まで48時間!「ミステリクロノ 3 」

時間を操る道具〈クロノグラフ〉を巡る超常ミステリ第3弾。 今回は時間退行、ということで、クロノグラフをトリックではなく、凶器(?)として使用。そのため構成としてはストレートで、ミステリ分は少なめ。どちらかというとサスペンスかな? なので、こ…

今回はキララ先輩が萌え!「SHI-NO夢の最果て」

シノシノ最新刊。今回は分かっている犯人をいかに追いつめていくか、という趣向で、いつも以上にミステリー色が強かった感じ。 しかしシノ以上に、キララ先輩が萌えキャラすぎて困った。ただでさえ関西弁には弱いのに、後半のあの展開は反則だよ! でもドレ…

黒米澤の怖さ「犬はどこだ 」

誰だ! 米澤穂信を青春ミステリの旗手とか呼んだ奴は!? という訳で、米澤穂信のダークサイドがやや漏れ気味の作品。 米澤さんは珍しくハードカバーでも追ったりする作家なのだが*1、この作品は未読だった。理由は単純で、千反田えるも小佐内さんもいなかっ…

萌絵さん出張り過ぎです!「θは遊んでくれたよ」

森博嗣って、私の中ではすごい好き!って作家じゃないんだけど、ついつい優先して読んじゃうんだよね。なんでだろ? という訳で、新シリーズの第2弾。なんだけど、すっかり萌絵が主役になっている。ラヴちゃんって、何に出てきたキャラだっけ? 内容はもは…

配達あかずきん

原作は本屋ミステリとは知っていたが、単行本は買わない主義*1なのでスルー。しかしそれを「暴れん坊本屋さん」の番子さんがコミカライズとあっては読まずばなるまい。 「暴れん坊本屋さん」が、あるあるっ!の連続なら、本書は、ねーよっ!の連続。前者が本…

歴史ミステリの醍醐味、ここにあり!「旧宮殿にて」

レオナルド・ダ・ヴィンチが探偵役の、連作短編ミステリ。歴史上の有名人が名探偵というのは萌える。しかもトリックが、当時の文化背景を活かした物理系というのも素敵。それがまたダ・ヴィンチという人物像とマッチしている。歴史ミステリの醍醐味、ここに…

神麻さんの出番が…「生贄を抱く夜」

チョーモンインの短編集。 といっても、神麻さんたちの出番は少ないし、パズル部分も推理するような形になってないし…。キャラクター小説としても、ミステリとしても微妙。生贄を抱く夜 (講談社文庫)作者: 西澤保彦出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/12/1…

カーナッキの帰還

http://www.tsogen.co.jp/np/detail.do?goods_id=3826 「幽霊狩人カーナッキ」が復刊する模様。 いやー、絶版の角川ホラー文庫を探して捜して、ようやく手に入れた時の喜び、そして読めた時の感激を思い出す。 …なんだけど、本棚に入ってないよ。おかしい、…

ツンで美貌の異端民俗学者萌え「写楽・考」

考古学にミステリの取り合わせは最強。 という訳で、蓮丈那智シリーズ3作目。 あいかわらず、長編1本書けてしまいそうな濃厚なネタの短編3本に中編1本。 久しぶりだったので、第3のキャラなんてすっかり忘れていたぜ。シリーズを重ねてキャラが増えてき…

端正と地味は紙一重「M.G.H.―楽園の鏡像」

早すぎた越境作家・三雲岳斗のデビュー作の一本、積読から引っ張りだして読んでみた。 なるほど、端正なSFミステリ。 しかしこの「端正」さが三雲さんがイマイチ目立たない理由なんだろうなあ。換言すれば地味、という事だから。 無重力の宇宙ステーション…

揺らぐ悪趣味な二者択一「ミステリクロノ2」

1巻は物語の根幹設定の説明が必要だったため、ちょっと煩雑で話に集中できなかった感があったけど、今回はすんなり愉しめた。 「トリックスターズ」はトリック満載の王道ミステリだったけど、「ミステリクロノ」は心理ホラーっぽい趣きがある。 二転三転す…

安心の森クオリティ「φは壊れたね」

読み初め。*1 絶筆宣言をした森博嗣氏だが、残念という気が起きないのは、なんともあの人らしい行動だからだなー。 という訳で、S&M、Vに続く、Gシリーズ。なにがGなのかはその内分かる、のかな? なんかシリーズを重ねるごとに、探偵役が拡散していっ…

全部遠子先輩!「“文学少女”と月花を孕く水妖」

“文学少女”特別編。前巻の予告から短編集かと思っていたら、時系列が過去に行くけど、長編だった。 片田舎、因縁のある屋敷、手毬歌、過去の惨劇、妖怪の伝説…ヨコミゾ・ワールド全開だ!*1 謎めいた麻貴先輩の秘密に迫る一篇。しかし重要なのは最初から最後…

チーム・バチスタの栄光

医療ミステリってさっぱり読まないんだが、id:kirisakinekoさんやid:deltazuluさんに薦められたし、以前ミステリーのイベントでトークショーを聞いた縁もあるので、文庫化を機に読んでみた。 前半、ワトソン役・田口の聞き取り調査辺りはちょっと退屈かもー…