ミステリ

最後の願い

光原百合さんの日常の謎もの。 劇団を立ち上げようと二人の男が奔走する*1過程で、関わった人にまつわる謎を解く。そして仲間が増える。なんだか水滸伝みたいだ(笑)。連作短編形式なのだが、最後、それまでに関わった人間が集まり劇をする展開が実に燃える…

SHI-NO 支倉志乃の敗北

なんかもう志乃ちゃんを見ているだけで幸せ。(ダメ人間) ミステリ度数ゼロということだけど、これはこれでありかな。*1心温まる惨劇。 あと、全編にまぶされた小ネタにニヤニヤさせられた。なんというか微えろ? 宮村さん、再登場しないかしらん。SHI‐NO―…

理由あって冬に出る

東京創元文庫の新人さん。東京創元はあいかわらず、ラノべと一般文庫の狭間のイラストづかいが巧いなあ。 中身は学校の怪談系ミステリ。非常に好みの素材ではあるんだけど… ちょっとキャラが弱いかなあ。探偵役は変人としては中途半端だし、他のキャラたちは…

『クロック城』殺人事件

色んな人が薦める北山猛邦。デビュー作文庫化を機に手に取ってみたよ。いや、他の巻から読んだ方が、と言われたような気もするけど、こういうのはやっぱり刊行順に読みたいじゃない。 てっきりストレートな館モノだと思っていたので、冒頭、いきなりの終末目…

遠まわりする雛

サイン会を午後に控えつつ、お昼までになんとか読了。 それにつけても、なんという千反田える萌え小説! 「あきましておめでとう」のあのシチュエーションで誤解されるような事を起こさないホータローは別の意味で省エネすぎるよ! 「遠回りする雛」とかも……

キマイラの新しい城

講談社のミステリーズ・フェアに躍らされてミステリ・モード。 久し振りに殊能将之作品。ハサミ男の衝撃が忘れられず、文庫化したのは全部読んでいるんだよね。 十字軍の騎士の亡霊に取り憑かれたレジャーランド社長と城を巡る、過去と現在、二つの殺人事件…

インシテミル

サイン会整理券ゲットならず。なので、普通に買ってきた。 本作は今までの米澤穂信作品から「青春」を引いて、「殺人ゲーム」を足してみた感じ。つまり「殺人ゲームミステリ」。*1そんな訳で、米澤作品に「青春」を期待している私のような読者には、ちょっと…

“文学少女”と慟哭の巡礼者

まずその厚さに驚く。400頁弱だぜ。 という訳で、文学少女5冊目。 冒頭のクトゥルフ神話を賞味する遠子先輩に笑わさせていただく。イラストもグッジョブ! そして琴吹さんが可愛い。兇悪に可愛い! 遠子先輩派の私が転びそうなくらい可愛い!! と。そんな…

神様のメモ帳

ニート探偵。発売時に買ったものの、そのまま積ん読していたが、先日の某オフ会で2巻ももらってしまったし、と読んでみた。 この作品、「GOSICK」との類似性が言われてるようだけど、私は読んでいてあんまし似てるとは感じなかったなあ。確かに、安楽椅子探…

ミステリクロノ

「トリックスターズ」久住四季さんの新シリーズ。まずは電撃にミステリの血脈が残った事を祝おう。タイトルにミステリと入ってはいるが、トリスタと比べるとミステリ臭は抑えられているかな。クライマックスがロジックで展開される部分はまさにミステリだっ…

蛇行する川のほとり

もう何度言ったか分からないが、恩田陸の描く賢しい少女は良い。 という訳で、あとがきに書かれている通り、これは「少女たち」の物語。ミステリー要素もあるけれど、それはちょっとしたスパイス、その分普段の恩田作品より濃厚な少女成分が愉しめる。 例に…

Q&A

恩田陸は時々実験的な小説を書くけど、この作品は会話だけで進むというもの。会話の巧い恩田さんだからこそ書けた小説だ。 ショッピングモールで起きた事故の真相が徐々に浮き彫りにされて…と、その超展開に、友桐夏との類似性をいつも以上に感じた。 この独…

SHI-NO 呪いは五つの穴にある

いや〜、救いがないですな〜♪(嬉しそうに言うな) 善意と悪意とあれやこれや。 純粋にミステリーとして見れば突っ込みどころは多数あると思うのだけど、同じくらい突っ込みどころのあるミステリーなんていくらでもあるし、とりあえず志乃ちゃんがかわいーか…

クレオパトラの夢

最近、また恩田陸作品が続々文庫化しているので、少し優先度を上げてみる。 一応「MAZE」の続編なんだけど、主人公が一緒なだけなんで読んでなくても大丈夫。というか私自身ほとんど覚えてなかったけど、平気だった。 内容はなんというか…恩田陸作品としては…

トリックスターズC PART2

強風で電車が止ってしまったので、通勤電車内で一気に読了してしまったよ。 という訳で、「トリスタ」完結編。上巻の展開にあそこからどう完結させるのかと思ったら…ある意味、それすらミスディレクションだった! なるほど、だからこの巻の周は騙り手なんだ…

楽園ヴァイオリン クラシックノート

ラクエンじゃなくてガクエン。 という訳で、友桐夏ひさびさの新作。タイトルは変わっているが、内容も作風もまごうことなき「リリカル・ミステリー」の系譜であった。 連作短編の形式で、普通の音楽小説として始まりながら、一話重ねる毎に物語は別の様相を…

“文学少女”と穢名の天使

「文学少女」4巻目のオマージュ対象は「オペラ座の怪人」。個人的には意外なセレクトに思えた。ちなみに初めて既読の本。ま、詳細覚えてなかったからあんま関係なかったけど(苦笑)。 作中、基本「怪人」ではなく「ファントム」と表記する辺り、作者の拘り…

GOSICKs(3)

ゴシック短編集第3弾。秋は花と歴史にまつわる謎の物語。 過去の話に隠された謎をヴィクトリカが読み解く、というスタイルで、まあ、ミステリとしてすごいという内容ではないけど。ヴィクトリア朝時代の住人である彼らが、さらに過去の物語を振り返る、とい…

黄昏の百合の骨

しばらく恩田作品を読んでなかったら、文庫化のものがたまってきたので。久しぶりに恩田陸を読んだのだが、やっぱり面白い! それぞれ秘密を隠した女たちが一つ屋根の下で心理戦。このえげつなさこそ恩田陸の真骨頂。 前作にあたる「麦の海に沈む果実」の記…

トリックスターズC Part1

電撃の本格ミステリ。学園祭最終日、ついにクロウリー3世が本格的に動き出す。 表面的に起きている事件は小さな話なんだけど、水面下では色々な動きが。これらの錯綜する線が、後編でどう収束するのか? 周の紹介が「騙り手」になっていたりと、何やら大仕…

砂の城の殺人

激アルバイター、書き下ろしな3巻目。東京創元入りして、ページは増えて、中身もさらに本格化。 嵐の山荘となった廃虚で木乃伊が発見されて…という話。並行して読んでいた「今昔続百鬼」の最終話も木乃伊話だし、世間でも本当に木乃伊化した遺体がいくつも…

今昔続百鬼 雲

火浦功の落語の間を久々に読んだら、今度は京極夏彦の語りの間を愉しみたくなったので、積ん読から引っ張り出す。 という訳で、京極夏彦の短編集。*1 主役はいつもの黒い人じゃなくて、妖怪研究家の多々良先生…なんだけど、正直このキャラがむかつく(笑)。…

メイズプリズンの迷宮回帰 ソウルドロップ虜囚録

現在、新刊購入を最低限に抑制して、積ん読の山を崩すキャンペーン実施中!*1 という訳で、ソウルドロップ3巻目。 う〜ん、上遠野作品としては凡作かなあ。 メインであるはずの家出少女は、細かい事情が書かれないので感情移入できず。相方の老人の秘密も、…

四季 冬

真賀田四季の物語、四部作完結編。 前作、意表を突いたリンクで仰天させられた森博嗣世界は、さらにそこまで行っちゃうのかよ! って、正直、話に聞いて知っていたんだけど、それでも少し吃驚。ああ、あの人があの人なの!と、色々再読して設定を確認したく…

僕と先輩のマジカル・ライフ

夢水清志郎がなかなか面白かったので、実は積ん読してたこの本を。 心霊現象っぽい事件が起きて、果たしてこれはオカルトか否か?を解き明かす、という私の好物であるゴーストハントもの。…なんだけど、物足りない。普段子供向けミステリを書いている著者が…

四季 秋

前作から一気に時間は飛んで「すべてがFになる」以後に…って、さらりと衝撃の事実が明かされマシタヨ! シリーズをずっと読んできた人間にはたまりませんなー。色々な断片が一気にがちゃこんと嵌まる感覚。こんなことをずっと仕込んでたのか、すげえ。 久し…

四季 夏

登場キャラも増えてきて、ますますスーパー森博嗣大戦度が高まってきた。もはやミステリーの部分は皆無、天才・四季のラブコメ(?)。 ま、四季という天才少女に萌えられるかどうかが全てな話だ。私は恋に悩む(?)四季だけで満足だった。 四季 夏森 博嗣 …

そして五人がいなくなる

児童書で話題のミステリー作家、はやみねかおる。そのデビュー作が一般文庫化したので、せっかくだから読んでみる。 うむ。キャラクターとか、展開とか、子供向けにデフォルメされている部分が気にならんでもないが、骨子はしっかりしていて端正なミステリ。…

龍の館の秘密

激アルバイター第2弾。ミギー表紙の美波が可愛い! トリックアートという好物ネタで、これで館要素がもっと絡んできたら嬉しかったなあ。あと仕掛け部分はちょっと説明不足で分かりにくかった。なんのかんのといっても十二分に堪能させてもらったけど。 さ…

”文学少女”と繋がれた愚者

“文学少女”と繋がれた愚者野村 美月 竹岡 美穂 エンターブレイン 2006-12-25評価 by G-Tools , 2006/12/31 オフ会でうっかりネタバレされてはかなわん!と、開始五分前になんとか読了。 という訳で、文学少女第3弾。 いやあ、文学少女の登場人物は完全に明…