最後の願い

 光原百合さんの日常の謎もの。
 劇団を立ち上げようと二人の男が奔走する*1過程で、関わった人にまつわる謎を解く。そして仲間が増える。なんだか水滸伝みたいだ(笑)。連作短編形式なのだが、最後、それまでに関わった人間が集まり劇をする展開が実に燃える。
 そして舞台女優の生活ダメ人間っぷりが妙に萌える。ヤンデレの次はダメダメが来るな。たぶん。きっと。
 女性の日常の謎ミステリというと、加納朋子さんとイメージがかぶるが、光原さんの特徴は、一抹の苦味だと思う。あるいは酸味か毒味か。読んでいてピリリとくる感覚がある。
 ところで、劇中劇って、どうしてこう面白そうなんだ。観てみたいぞ、「万華鏡の館」。

最後の願い (光文社文庫)

最後の願い (光文社文庫)

*1:いや、どちらも奔走って言葉が似合わないんだが