僕と先輩のマジカル・ライフ
夢水清志郎がなかなか面白かったので、実は積ん読してたこの本を。
心霊現象っぽい事件が起きて、果たしてこれはオカルトか否か?を解き明かす、という私の好物であるゴーストハントもの。…なんだけど、物足りない。普段子供向けミステリを書いている著者が、初めて大人向け作品を、というコンセプトなんだけど、実は基本的テイストは変わらず。ゴーストハントもののはずなのに、おどろおどろしさが全く無いんだなあ。ま、そういう作品、というだけで、瑕疵ではないのだけど、好みからは外れる。
そも霊能力を持っているヒロインがまったく話の根幹に絡まないのもどうなんだ? 語り手が超現実主義者、探偵役(?)の先輩は二重人格的にオカルトと現実の間を行き来するのに、肝心の謎はあっさり風味で、ゴーストハントものの魅力である、現実と超常が揺らぐ感覚が欠片もない。下宿の人たちもたくさんいるけど、ほとんど出番無しで、全体にキャラが巧く活かせてない印象。
あくまで日常の謎として見れば話は二転三転するし、まあまあよくできてると思うんだけど…ゴーストハントものとしては、うーん?
ま、好きなジャンルほど、評価は厳しくなるということで。