遠まわりする雛

 サイン会を午後に控えつつ、お昼までになんとか読了。
 それにつけても、なんという千反田える萌え小説! 「あきましておめでとう」のあのシチュエーションで誤解されるような事を起こさないホータローは別の意味で省エネすぎるよ! 「遠回りする雛」とかも…嗚呼、千変万化にコスプレする*1聖天使様に萌えない訳がなかろう! イラスト付きで見たかったぞ!
 一方、もう一人の女性キャラ・摩耶花の立場がないなー。「手作りチョコレート事件」とか…前作「クドリャフカの順番」の底抜けに明るい学園祭小説から一転、この作品の抱える仄暗さはなんだ。ほろ苦い、どころか、ブラックビターだよ。
 もちろんミステリとしての魅力もある。ただの一文から物語が展開し意外な結末へと繋がる「心あたりのある者は」は見事としか言い様のない佳品。
 ところで。天文部でTRPGをしているシーンに笑ってしまった。私も高校の時、化学部でマスターしたことがある。文化系の部活って、結構TRPGの隠れ蓑になってるんだよね。しかしあれ、システムは何だろう? SFものって珍しいけど。まさかトラベラー?
 という訳で、色んな意味で驚きの連続となった短編集。「古典部」シリーズはどこに行こうとしているのだ!? 今はただ、座して続刊を待つのみ。

photo
遠まわりする雛
米澤 穂信
角川書店 2007-10
評価

インシテミル クドリャフカの順番?「十文字」事件 ユリイカ 第39巻第4号?詩と批評 2007年4月号 特集 米澤穂信 ボトルネック 犬はどこだ (ミステリ・フロンティア)

by G-Tools , 2007/10/17

*1:註:正確にはコスプレじゃないが。むしろ巫女服も欲しかった!(笑)