配達あかずきん

 原作は本屋ミステリとは知っていたが、単行本は買わない主義*1なのでスルー。しかしそれを「暴れん坊本屋さん」の番子さんがコミカライズとあっては読まずばなるまい。
 「暴れん坊本屋さん」が、あるあるっ!の連続なら、本書は、ねーよっ!の連続。前者が本屋への幻想を打ち砕く本なら、後者は本屋への幻想を育む本、とも換言できよう。だから悪い、という訳ではなく、作品性の違いの話ね。しかし現場を知るものとしては、どうしても素直に愉しめない部分が…(苦笑)。
 あと、どうもホームズ/ワトソン役の立ち位置に違和感を覚えたり。眼鏡のおねーさんが探偵役かと思いきや、彼女は語り手なんだよね。本のプロだけど、推理はバイトの女の子が担当。ただそっちが名探偵に見えないのは「さて」と言わないからか。
 キャラ的には極めて現実的な店長が結構気に入っている。こういう店長、いかにもいそう!
 細かい小物の描写に、さすが本屋兼漫画家*2の番子さんと感心。
 「ディスプレイ・リプレイ」のオチは…いかにも今っぽい話ながら、ヲタクならその程度の情報、すぐに気付くだろう。とか野暮を思ったり。
 さて、番子さんといえば、ついに「番線」が単行本化らしい。愉しみ。日販通信に連載されている「本販通信」は収録されたりするのだろうか。
 ところで。本好きに本をプレゼントする事ほど難しい事はないよね。

*1:主に物理的な理由。

*2:今はもう本屋は辞めたという噂を聞いたが。