歴史ミステリの醍醐味、ここにあり!「旧宮殿にて」

 レオナルド・ダ・ヴィンチが探偵役の、連作短編ミステリ。歴史上の有名人が名探偵というのは萌える。しかもトリックが、当時の文化背景を活かした物理系というのも素敵。それがまたダ・ヴィンチという人物像とマッチしている。歴史ミステリの醍醐味、ここにあり。
 これで連作短編形式で大きな流れが浮き上がる、という構成だったら最高傑作だったのだが、それは贅沢と言うものか。と、積読の「聖遺の天使」が同じ登場人物たちの長編なのか。発掘しないと!
 ただ本作を読んで三雲岳斗氏の弱点にも気付いたような気がする。ヒロインのはずのチェチリアが…萌えそうで萌えない。「M.G.H.」のヒロインもそうだったが、無個性ではないんだけど、ティピカルに感じるんだよなあ。

旧宮殿にて  15世紀、ミラノ、レオナルドの愉悦 (光文社文庫)

旧宮殿にて 15世紀、ミラノ、レオナルドの愉悦 (光文社文庫)