めためためためためためためた……「忌館―ホラー作家の棲む家」

　以前、桜庭一樹さんのトークショーを見に行った時、一緒に講演を聞いて、あのワールド・ミステリー・ツアー13を編集した人と知って「いつか読む」リストに入っていた作家さん。ロンドン編を片手にロンドン旅行をしたのも良い想い出だ。*1デビュー作が文庫化したので読んでみた。
　内容はまさにその本を編集していた頃に起きた体験談という形式で、色々と興味深かった。本筋と作中作が混じり合いながら進みつつ、その作品自体が現実と混淆する、という多重入れ子構造にくらくらしながら読んだ。ここまで徹底的にメタを志向した作品というのも凄い。
　個人的にホラーで一番怖いのは、スプラッタでも、宇宙的なアレでもなく、現実と虚構の境界が揺らぐ感覚、だと思っている私にはぴったりかも。
　正直、ミステリとして、館ものとしての出来はいまふたつくらいだと思うけど、メタ・ホラーとして愉しかったので良し。
　作者と感性が合いそうなので、他の作品も読んでみるべく、さっそく文庫で出いてる２冊を注文。嗚呼、また積みを。