青春小説

狂王の試練場やりたくなった「迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル?」

一昔前に話題になったWeb小説「和風Wizardly純情派」のリライト版。当時、私の周りでも盛り上がっていたんだけど、小説は紙じゃないと読めない古い人間なのでスルーしていたんだけど、良い機会なので読んでみた。 これは予想外にまっすぐな青春小説。Wizだか…

SFでなければ描けない青春もある「ハローサマー、グッドバイ」

あちこちで評判を見かけたので、読んでみた……んだけど、最近日本の作家ばかり読んでいたせいか、久々の翻訳文体に手間取り、ちょこちょこ読んでようやく読了。 地球とは異なる世界の青春小説。ある夏に出逢った少年と少女が、若い恋に落ち、やがて近づいてく…

ラノべ版モリミー「らじかるエレメンツ」

id:kenkaianやid:deltazuluが薦めていたので読んでみた。って、なんだこれ!? 余りの青春の無駄遣いっぷりに、なんかラノべを読んでいるというより、森見登美彦読んでいるような気分に。*1これ、ラノべとして出すより、そっち方面に売り出した方が良かった…

みのりんの漢前っぷりに惚れ直した!「とらドラ 9 !」

序盤、元の日常に戻ろうと皆が努力するも、それが軋み、崩壊していく構成は前巻と同じ。三歩進んで二歩下がる、しかし進んだ一歩は決して戻らない。そんな感じのここ数巻。 途中、内容はラブコメというより青春小説化していく。大人も決して万能じゃない、そ…

金髪女装少年やばい!「さよならピアノソナタ 3」

金髪の天然天才少年が登場でラブコメは更なる混迷の度合いを増した。ユーリかわいいよユーリ! 構成は、合唱コンクール、体育祭、文化祭とイベント連打の息をつかせぬ展開。特に合唱コンクールのくだりは短編として見ても傑作。 ゴスロリ服のバンドはあり!…

まさかの先輩参戦でスクエア・ラブコメ!「さよならピアノソナタ (2)」

あのラストから、どう続くのかと思いきや、ごくふつーに続き。音楽青春ラブコメの正道を一直線に突き進む。という訳で、初ライブに向けての夏合宿編。 まさかの先輩参戦でラブコメ度が一気に上昇。みんなまっすぐに青春しているなあ。 最後の失踪した真冬を…

ジュヴナイルの珠玉の輝き「時載りリンネ! 4 」

リンネの初短編集。いやー、リンネって、大事件の起きない日常の話の方が向いてるよね。 「天体観測」そういえば最近、星を見ていない。 「ジルベルト・ヘイフィッツの優雅な日々」我が家にもGを一人ください。 「フィーバー・ピッチ」ファミコン版キャプテ…

青春と音楽と「さよならピアノソナタ 」

「ぶよぶよカルテット」好き〜、と言ったらお勧めされた1冊。杉井光という作家を最近追いかけている事もあり読んだ。 これは良作。 ゴミ山の中のピアノ。この絵だけで、本作は勝ったも同然。それだけのイメージ喚起力がある設定。 それにつけても音楽ものと…

ライトノベル版ひだまりスケッチ「ラノベ部」

ライトノベル部に集う高校生たちの日常を描いた作品。またメタか!と思いつつも、某企画のために読むかと思って手にしたら……ふつーに面白かったよ。 「生徒会」より一話一話を短くして、さらに4コマ化した感じ。「生徒会」ほどネタの応酬はなく、どちらかと…

最近はメタなラノべが増えましたね「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」

ネット界隈で話題になっていて、これはオフ会まで読んでおかないとヤバい!と感じ、慌てて捜すもことごとく売り切れ!*1 目撃情報を元に神保町・渋谷とはしごしてオフ会当日に確保、そのまま読んで開始直前になんとか読了。……途中、なんでこんなに必死になっ…

常野一族は脇役だった…「蒲公英草紙―常野物語」

常野物語の第2巻目。 といっても、1巻目「光の帝国」が連作短編集だったのに対して、こちらは長編。話も常野一族は脇役で、戦前少女たちの青春物語、みたいな。ぶっちゃけ常野物語じゃなくても、書けたんじゃ…その意味では物足りなくも、青春物語としては…

打算と友情と駆け引きの自転車ロードレース「サクリファイス」

MYSCONに参加するのだけど、そういえば近藤史恵って1冊も読んでない…、と思って、ちょうど本屋大賞2位を受賞した直後のこの本を読んだ。 うん。評判に違わぬ快作。 ハードカバーだけど、文章はさくさくと読めて気持ちよい。正直に言えば、これは文庫で読み…

読むと腹減るはらぺこノベル「ベン・トー—サバの味噌煮290円」

評判が良く、今度のオフ会の課題図書の1冊らしい*1ので読んでみた。 実はこの作品、読む前から好みじゃなさそう、と思ってたんだけど…案の定、最初は、半額弁当のためにスーパー内で殴る蹴るのバトル、という世界観を受け入れられず。しかし終盤まで来ると…

金平糖は砂糖菓子味「幽霊列車とこんぺい糖―メモリー・オブ・リガヤ」

なんとなく読む前から、「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」っぽい作品だな〜、と思っていたが、その先入観は良い意味でも、悪い意味でも裏切られなかった。 色々と突っ込み所はあるものの、雰囲気を愉しむ作品。暗黒とリリカルは相性が良いね。「切り取り線」…

ラクロスやってみたいかも「暴風ガールズファイト」

評判が良いので読んでみた。 なるほど、良作。ラクロス、やってみたくなる。 廃部寸前の同好会。熱血少女が周囲を巻き込んで、仲間を増やし、徐々にみんな熱くなっていく。スポ根のお約束が心地よい。 そして、その熱血少女ではなく、巻き込まれる側が主人公…

冷たい校舎の時は止まる(上下)

id:deltazuluさんが好きだと書いていたので書名を覚えていて、本屋で手に取ったら、大学の後輩*1だった事に奇縁を感じ読んでみた。 はっきり言って、前半部分がどうにも冗長。 ノベルスの時は三分冊だったので、それぞれが適度な長さだったのかも知れないけ…

太陽の塔

「夜は短し歩けよ乙女」が評判な様なので、文庫化していたデビュー作を読んでみた。 こ、これは、ひたすら漢臭い! そしてイタイ。痛すぎる。 読むのが余りに辛いので*1、一度に20ページくらいずつしか読めず、読了まですごい時間がかかってしまった…。 内容…

大久保町の決闘

ライトノベルの奇書的な扱いをされていた作品なので、復刊を機に読んでみたのだが…意外にまっとうな話で驚く。 いや、日本の片田舎の町が西部劇な世界、って充分に変な設定なんだけど。 でも、根幹はド直球のボーイ・ミーツ・ガールにして、嬉し恥ずかし思春…

空とタマ

ラノサイ杯で気になったので発掘第2弾。 「ラジオガール」はいまいちピンと来なかったけど、こちらは大ヒット! 廃倉庫の1Fと2Fに分かれて、相手の正体も分からないまま、バトルしたり、かけひきしたり、という展開がまず面白い。 そして終盤、それぞれ…

夜のピクニック

夜のピクニック恩田 陸 新潮社 2006-09評価 by G-Tools , 2006/10/08 夜のロングウォークというものは実に気持ちが良い。*1 という訳で、恩田陸の出世作とも言える本書。本屋大賞に選ばれるだけあって、恩田作品の中でもかなりクオリティは高い。経験したこ…