冷たい校舎の時は止まる(上下)
id:deltazuluさんが好きだと書いていたので書名を覚えていて、本屋で手に取ったら、大学の後輩*1だった事に奇縁を感じ読んでみた。
はっきり言って、前半部分がどうにも冗長。
ノベルスの時は三分冊だったので、それぞれが適度な長さだったのかも知れないけども、二分冊だといかにも長いよ! 各キャラが抱えている過去が語られ始めると、面白くなってはくるんだけどねえ。
ただ、良く分からない世界に閉じ込められたキャラが、良く分からないルールをあっけなく受け入れてしまう事とか、事件が起きても手をこまねいてバラバラに行動する事とか、どうにも引っ掛かった。ぜんぜん頭が良さそうにも、仲間意識があるようにも見えなかったのは私だけ?
一番読んでいて辛かったのは、リアリティの置き所が分からないまま、延々話が続く所。足場が不安定なまま、ひたすら歩かされているような不安。世界観が揺らぐ小説って好きだけど、この作品はミステリーの体裁を取っているんだから、超常世界での話なりにルールを明示してくれなければ*2推理の土台がない。登場人物の一人が語る、怪しい聞きかじりのオカルト知識なんかじゃ、世界のルールとして正しいかどうかなんてさっぱりだよ! それでいきなり読者への挑戦状をやられても。
ただ、最後に示されたミステリー的趣向には、すなおにやられた!と思った。
でも、これをやるだけなら、この長さはいらないよね…。逆に高校生の青春群像劇をやりたかったなら、何もここまで変則的な舞台を用意する必要は無かったと思う。どうもこの辺にミスマッチを感じるんだよなあ。
ちなみに、私には「犯人」の意図もよく分からなかった。もうダメだ。
結論。つまらなくは無かったけど、色々気になって、素直に愉しめなかった感。
ところで。ラストまで読めば先行作品との類似に気付くと思いますよー、みたいな事をid:kirisakinekoさんに言われたのだけど、ピンと来ませんでした(汗)。*3
追記。著者と同名のキャラが、探偵役でも記録者でもない作品って珍しいような。