夜のピクニック

photo
夜のピクニック
恩田 陸
新潮社 2006-09
評価

by G-Tools , 2006/10/08


 夜のロングウォークというものは実に気持ちが良い。*1
 という訳で、恩田陸出世作とも言える本書。本屋大賞に選ばれるだけあって、恩田作品の中でもかなりクオリティは高い。経験したこともないのに、なぜか懐かしい恩田節はフルスロットル。
 歩行祭、24時間ただ延々と歩いて話をする、というだけなのに、面白いんだなあ。
 祭の進行と、話の展開が噛み合った緻密な構成。しかしその中で繰り広げられる会話は、リアルな脈絡の無さで、実に自然だ。しかししかし、そんななにげのない会話の中に伏線が仕込まれていたりする訳で…あーもー、すげえとしか言い様がないじゃないか。
 実際には顔を出さないけど…な杏奈がかなり気になるキャラ。彼女を主人公にした話とか、書いてくれないかな。

 ところでこの話、車の中の友人の正体とか、結構謎が残してあるけど、これは何の為だろう? 推理、をするには、ちと材料が少ないような。
 あと、「図書室の海」を引っ張り出してきて、前日譚の「ピクニックの準備」を読んだんだけど…主人公二人以外の名前が違う…。映画化に合わせてサブキャラって名前変更があったの? あと最後の謎のキャラの独白。この設定にそぐうキャラっていない気が。
 謎だ。誰か教えて下さい、私、気になります。

*1:もっとも私の場合、終電で寝過ごして歩く、なので本書の爽やかさとは雲泥の差であるが