打算と友情と駆け引きの自転車ロードレース「サクリファイス」

 MYSCONに参加するのだけど、そういえば近藤史恵って1冊も読んでない…、と思って、ちょうど本屋大賞2位を受賞した直後のこの本を読んだ。
 うん。評判に違わぬ快作。
 ハードカバーだけど、文章はさくさくと読めて気持ちよい。正直に言えば、これは文庫で読みたかった。*1
 自転車ロードレースの話で、専門用語も出てくるのだが、それについていちいち解説しない。読者には前後の文脈で分かるようにしているので、テンポよく読める。巧みだ。
 それにつけても自分が知らない世界の話って面白いよなあ。スポーツものという事で、愉しめるか不安だったんだけど、スポ根ではなくて、戦略だったり紳士協定だったり陰謀だったり友情だったり、と思いっきり好みの内容だった。
 ただ、キャラ描写はもうちょっと増やして欲しかった。ラノべ脳には淡々としすぎて物足りない感。特に香乃。一般文芸だとこんなもんなのかなあ。
 ところで、読んでいる間、バックグラウンドでひたすら掛算を考えてた。既にオトメ回路標準装備?

サクリファイス

サクリファイス

*1:私は小説には相応しい「噐」があると考える方。