オクシタニア
アルビジョア十字軍。世界史の教科書だと一行、へたをすると授業では触れられないような話だ。
キリスト教異端という、無宗教の日本人には分かりにくいテーマを、きちんとエンターテイメントにしてしまう佐藤賢一は、やはり凄い人だ。
ただ、宗教に引き裂かれた二人のラブロマンス、と、南部フランスを巡る攻防記、という二つの軸がいまいち巧く噛み合っておらず、かえってピントがぼやけてしまった印象。
それ以上に。佐藤賢一永遠のテーマである、「畢竟人間は男と女」→「ええのんか、ええのんか」コンボは、さすがにもう食傷気味だ(苦笑)。希少な西洋史の書き手であるし、偶にはもうちょっと別の切り口で攻めて欲しいなあ…永遠のテーマだから無理か。