狼と香辛料2
行商ファンタジー第二弾。一作目がなかなかだったので、二作目は大丈夫かな、と期待半分不安半分で読んだのだが、二作目はきちんと腕を上げてきたって感じ。
経済がテーマという難しい縛りがあるだけに二作目はどう持ってくるか、と思ったら、騙されて破産の危機、非合法な手段で大逆転狙い、という仕掛けで来た。やってくれる。前半部の展開が露骨すぎるとか、瑕疵はいくつも見つけられる*1んだけど、この作者の場合、それも成長の余地に見えるから不思議だ。
このシリーズの何より素晴らしい点は「空気」だ。個人的にファンタジーの肝は、異世界の「空気」をしっかり描けているか否かにかかっていると思うのだが、「狼と香辛料」の文章の中には異世界の空気の匂いがある。例えば、作中人物がさりげなく引用する、その世界特有の諺*2。こういった小技の一つ一つが積み重なって、小説の向こうにある異世界を読者の中に確立する。
ただ心配なのが、二巻にして既にロレンスとホロの絆が深すぎ、第三者が介入してきても全然ラブコメにならない点だ。まあ、二人がいちゃいちゃじゃれあっているだけでも充分面白いんだけどサ(笑)。