映画「魍魎の匣」

 京極夏彦の主観最高傑作*1魍魎の匣」が映画化されたので、遅ればせながら観に行った。
 正直、前作「姑獲鳥の夏」が駄作だったのでさっぱり期待せずに見に行ったのだが、面白かった。
 しかも予想外の方向に。
 そも京極夏彦の長大な原作を2時間の尺に収めるのは不可能。前作「姑獲鳥の夏」は、それでもきちんと筋を追って映像化しようとして、結果破綻していたと思う。*2
 対して「魍魎の匣」は見事な換骨奪胎で映像化を果たした。いやー、「魍魎の匣」の映画で笑い転げるとは思わなかったよー。
 京極夏彦のキャラ小説の側面を抽出・特化し、印象的なシーンを抜き出して映像化。キャラ同士のかけあいが愉しい、*3映像も凝っていて、観ていて厭きない。
 例の「匣」が出てきた時、いきなりのネタバレにびっくりしたのだが、見終わった後はミステリとしての部分を棄てた英断に納得した。設定の改変は地下神殿で撮影したかったからなんだね。*4
 美馬坂教授@柄本明の怪演をはじめ、役者陣の演技もはまっていたと思う。あと、カナコのボクッ娘っぷりに不覚にも萌えた(笑)。すぐに科白が無くなってしまったのはもったいない。
 クライマックスは爆発したり、崩壊したり、いかにも安っぽい展開に。「みつしり」感も無くなっちゃったし。その前の方が個人的には盛り上がっていたよ。ただ、久保くんには笑わせてもらった。*5どんだけ!
 いやー、「魍魎の匣」を映画として面白いものにしたってのは凄い事だ、と素直に賛嘆。

*1:といいつつ、「みつしり」以外、ほとんど話は忘れていたが。

*2:いや、あのトリックを映像化するのがそも無謀なのだが。

*3:京極堂などかなり崩してあるので、熱烈な原作ファンは怒りそうだが。

*4:一度地下神殿は実際に見たいなあ。http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/topics/event/gcan/0506.html

*5:「匣」が変形して巨大ロボになる展開を期待してしまった!