伏見稲荷大社

 せっかくの平日旅行、朝のラッシュに巻き込まれるのも厭なのでゆったりと出発。新幹線の自由席にも無事座れて、午後一時過ぎに京都着。
 幸い雨は降っていなかったので、そのまま奈良線に乗り換えて、まずはメイン目的の伏見稲荷大社へ。
 稲荷駅で下車。単に「稲荷」と呼ばれている辺りに、いかに伏見稲荷大社が地元で親しまれているのか窺える。そして駅自体が鳥居を意識した造りで、赤い赤い。
 大きな鳥居をくぐり、狛犬代わりの二匹の狐の間を通って、まずは本伝を詣でる。
 そしてここからいよいよ、千本鳥居の始まりー…って、鳥居がずらりと並んでいる様は予想以上に凄い光景だ。普通の神社なら一つか、あっても二つ*1の鳥居がひたすら続くのである。まるで赤い回廊。ただでさえ鳥居は俗世と神界を隔てる門だが、その連続は自分をどんな異界へといざなうのだろうか?
 と、幻想気分でいられたのは序盤だけ。
 暑い。とにかく暑い。初夏の盆地、しかも梅雨の晴れ間の京都はひたすらに蒸し暑い。たちまち汗がだらだら流れてくる。しかも背中には旅行の大荷物を背負っているのだ。
 疲れてしまって途中三つ辻で見つけた茶屋で一休み。昼飯も食っていなかったので、稲荷寿司を注文。予想以上に高くて内心驚いたが、さっぱりとしていて美味しかった。稲荷大社で稲荷寿司なんておつである。ついでに茶屋で荷物を預かってもらう。預かり賃込みと考えれば、悪くない値段だったかな。
 さて、身軽になって、再び登頂開始。四つ辻から京都市を一望。苦労が報われる瞬間。
 だが山頂はまだ先だ。再び鳥居回廊を進み、山頂を巡るコースへ。途中いくつもの神社(祠?)があったのだが、どこにも奉納用の小さな鳥居が積み上げられていて、人間の欲望の果てしなさを思い知らされた感じ。山頂、一の峰は眺望が無かったのがちと淋しい。
 疲れ果てつつも下山、再び四つ辻を通過。途中喉が渇き、せっかくなので自販機で「ひやしあめ」を購入。と、この缶、ひっくり返すと「あめ湯」になっている。つまりCOLD、HOT、両対応のリバーシブル仕様なのだ。合理的と言うか、なんというか。ちなみに不味い事覚悟だったのだが、意外にいけた。やはり蜂蜜入りがポイントか。疲れた時にはやっぱり糖分。
 荷物を回収して、行きとは別ルートで下山。と、このルートが凄かった。眼力大社、脳天大社で驚いてたら、阿佐田哲也まで祀られていた! 鳥居の寄贈は、全雀連と新雀連。更には神社ですら無くなって、道観とか良く分からん宗教のものまで。奥が深すぎる山だ。と、気がつけば住宅地に降りていて、狐に化かされた気分。そのまま進むと、民家の間に普通に祠が現れ、さすが京都、日常と神々が普通に同居していると感心。本殿前に戻ってきて、山巡り終了。
 で、帰り際、神社恒例の御神籤チャレンジ! 初詣でで二年連続凶を引いた私、御神籤には負の自信がある! 箱で出た数を巫女さんに告げ、手渡された紙に書いてあったのは…「末大吉」! なんだこれ、初めて見た。大吉の悪い奴なのか、末吉の良い奴なのか。詳細を見ると「たびだち:よし、病気:なおる、勝負事:かなう」と良い事ばかり。自分で信じられないよ、特に「まち人:きたる」なんて生まれて初めてさ! 文面には日々精進を怠らなければ、まだ先だがきっと幸福になる、みたいな事が書いてあって、なるほど「末大吉」というのは末に大吉になるって意味なのか。うむ、これは現在人生の節目にある私には最良の御神籤ではないか。叶う事を真摯に願って結んだ*2

*1:鳥居を数える数詞って正確には何だろう?

*2:ところで、御神籤って良い事を叶える為に、と、悪い事を消す為に、と両方結ぶ理由を聞いた事があるんだけど。結局どっち?